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会社概要

株式会社ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者

牧野 正幸氏(まきの まさゆき)

プロフィール

大手建設会社での海外購買管理プロジェクト(システム開発)、ソフト会社取締役を経て、1994年システムコンサルタントとして独立。三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)および日本IBMと共同で中堅企業のシステムを開発。また、外資系ERPパッケージ開発のコンサルティングを行う。1996年、阿部孝司氏、石川芳郎氏とともにワークスアプリケーションズを設立。2001年12月にジャスダック上場、代表取締役最高経営責任者に就任。




― まずは牧野さんの24時間のタイムスケジュールを教えて下さい。

9時30分に出社して11時くらいまで自分自身の仕事をして、その後はミーティングと来客対応ですね。

― 会社は9時半からですか ?

当社はフルフレックス制をとっていますので、出社時間は決まっていないのですが、私は基本的に9時半に出社しています。

― では、社員の皆様の勤務時間管理はどうなさっているのですか?

労働時間に関しては、記録や管理はしていません。当社の評価制度は 360 度評価で、上司が部下を評価するのではなく、社員同士が互いに指名して評価を行います。評価の基準は、働いた時間の長短ではなく、仕事の成果やプロセスですから、自主裁量においてどのようなコミュニケーションを取り、成果を挙げたかが重要となるのです。

― 自主裁量というのは会社設立当初からなさっているのですか ?

そうです。当社の会社設立の目的が2つあって、1つは、“日本企業の情報投資効率を世界レベルに引き上げる”ということ。もう1つは“優秀な人間だけで構成される会社を創る”ということがあります。優秀な人間が「ここだったら、100%自分が成長できる」と集う会社を創りたかったんです。どちらか1つが欠けても駄目で、この2つを同時に可能にする会社を創りたかった。人材が大事だからという理由でこのような施策をとったのではなく、経営理念そのものが会社の存在意義なんです。そのため、自主裁量で仕事を作り出せるレベルの人材しか採用しません。

― では会社設立当初は人材のレベルがまちまちで大変だったのではないですか?

当初の目的どおりレベルの高い人材の採用にこだわりましたから、人が採れなくて苦労しました。しかし、採れないからといって、当社の基準レベルを満たしていない人材を採用することはしませんでした。 シリコンバレーの会社をよく例に取るんですが、そこに何故あんなに優秀な人間が集まるのか、もう一つ、何故小さな会社が世界を揺るがす技術を産み出すのか。場所が良い訳でもなければ、偶然上手くいっている訳でもない、そこに集まっている会社は5人や10人の小規模な会社であっても、10人のとてつもなく優秀な人間しかいない会社なんです。100人の内、90人は普通で、10人が優れているというような会社は存在していないんです。全米中の優れた人材が集まっているという事実があって、シリコンバレーにあるベンチャーに入れれば、企業はどうなるかわからないけれど、自分は間違いなく成長できる。そう思って優秀な人材が集まって来る訳です。

  日本の場合は、業績を優先するタイプの会社が多く、シリコンバレーのようなタイプの企業はありません。いくら業績が上がっても、優秀でない人材を使うということは我々の理念に反する。ですから優秀な人材を集めるために苦労はあっても、我慢します。

― 牧野さんのお考えからすると、仕事とフライベートはきっちりと切替が出来るように思うのですが、実際にはどうのようにお考えなのでしょうか?

 
仕事とプライベート、どちらかのためにもう一方の手を抜く人間は素人だと思っています。私個人は、プライベートは仕事の休憩ではないと思っていますから。プライベートと仕事両立するのが自分の人生であって、どちらも犠牲にはしません。どちらも最重要視して、全力でやるべきだと思っています。

― それは経営者というポジションだから出来るというような反論が、一般社員の方からよく出てくるのですが、その点に関してどのように思われますか ?

 そうかもしれませんね。しかし、基本的に自分が主役で仕事をすれば、すべてのコントロールは自分できるはずです。当社の場合はどうなのかというと、時間の管理はしませんし、仕事の範囲もあらかじめ定められているわけではありません。自分がチームを率いていくということであれば、率いることはいつでもできるし、それで大きな仕事をしているということが周囲に認められれば、その人はリーダーなんです。必死に働いて、必死でプライベートを過ごすということですね。

― 今までお伺いした理念の中で働かれている社員の方は、仕事とプライベートのバランスが取れてきていらっしゃるのでしょうか?

それはまた別のことだと思います。私自身はそれがベストだと思っていますが、社員の中には今は仕事で大きな成果を出したいとか、成長したいというところにフォーカスを当てて仕事により集中している人もいますそれは我々が強制するものではありませんから。

― 素晴らしいお考えですね。日本でワークライフ・バランスというととりあえず会社内に専門の部署を作って、お題目としてやっている場合がほとんどで、実際の自分たちの生活に落とし込まれてはいないように思います。御社の社員の方々は、自身の働き方を自分で考えて決定することが出来る大変恵まれた環境ですね。

キャリアの中で、年齢によってもバランスの取り方が違ってきますからね。私が新入社員に推奨しているのは、“遊ぶ時間は作らないほうがいいよ”ということです。大学を卒業し、最初の2年ほどは一番成長できて、楽しい時期ですから。自分だったら休まない。寝る時間以外は全部働くねって。そのほうが得だっていう話をしています。その時点でのバランスから言えば、日本の教育環境では、残念ながら学生時代に勉学に励むばかりではないという現状がありますから、働き始めたときには思い切り働いたほうがいいと思っているんです。日本の会社は新入社員受入れの体制があるので、最初の2年くらい比較的簡単な仕事から始める会社が多くあります。だんだん責任と仕事が増えていって、50歳くらいになったら、忙しさがピークになる。私は基礎的なキャッチアップは早いうちに済ませたほうがいいし、全力で走ったほうがいいんじゃないかと思っています。これはあくまで私からのアドバイスで、もちろん聞かない人もたくさんいますけどね。うちの社員は頭のいい人間を集めているので、そう言ったからといって、感動していきなり言うことをきく人間ではないですから。

― ご自身の体験からバランスをとることを体得されていると思うのですが、それでもお客様とのアポイントが重なったりして、自分の時間が取れなくなったりした場合は、どのように対処なさっているのですか?

日の単位であればそれは仕方ありませんから、時間をやりくりします。しかし、それが年がら年中ということになれば、優先順位の付け方が間違っているということになります。アポイントの数を減らしたり、1つの会議にかける時間を1時間から30分にするなど工夫します。
  忙しいと言う人に対して、1日に1時間の労働に切り替えたらと言います。1時間の中で普段の1日で行っている9割のことが出来るはずで、残りの10時間とか働いていても、全部そのための予備時間だからほとんどやってないと。1時間で仕事をして、それで充実して帰れるということは、集中して仕事をしているという証拠です。迷ったら1日1時間労働に切り替えて1週間やって、後ろめたかったら自分の仕事のやり方が間違っていると。人って完全に休むと仕事のこと忘れてしまうんですよ。ところが毎日1時間勤務してると、仕事のことは頭から抜けないし、1時間したら帰らなくてはいけないので、やらなきゃいけない仕事がたくさん出てくるから、優先順位がちゃんとつけられるようになるじゃないですか。


― そうですね。自分の時間を見直すためにはすごくいいやり方かもしれませんね。この考え方が根底にあると、仕事とプライベートのバランスがとり易くなりますね。

私は、プライベートの時間は休憩でも休暇でも何かを成し遂げる時間だと思っています。大変な仕事が終わったら、そこから大変なプライベートな時間が始まると。仕事も努力するから勝ち取れるものがある。プライベートも同様だと思っています。みんな仕事の時間と残りは余暇だと思っているから、バランスがおかしくなるんだと思いますね。どちらもやらなければならないことなんです。休憩のような遊び方は嫌いですね。だったら仕事していたほうがいい。


― 今、牧野さんがやっていらっしゃるトライアスロンも目標を決めて、それに到達するというような感じでなさっているのでしょうか?

トライアスロンもそうですし、いろいろな方と会って話をするのもそうですし、手を抜かないほうがいいと思うんです。美味しいものを食べるんだったら、妥協しないで美味しいものを食べる。全部心掛けだと思うんです。すべてに対して一生懸命やったほうがいいでしょ。


― 今後、上海など中国に進出なさると思いますが、彼らの考えるタイムマネジメントと日本人が考えるそれとは違ってくると思いますが、その点はどのように考えていらっしゃいますか?

その国の文化や時代によって異なってくると思いますが、今の中国の方は、日本人よりもっと働くことに貪欲で、どんどん働かせろって言ってくるくらいです。もっともっと仕事をくれたら、もっともっと課題をくれたら、もっと勉強するし、もっと仕事しますと。休む暇なんかいらないと。当然そうだと思うんですよ。私の父親や団塊の世代は、一生懸命働くことが、より良い生活につながった世代です。人より一所懸命仕事をすることが幸せだった。今、中国はそのような段階にいるんです。ですから、現在の日本の考え方を持ち込んでも駄目な訳でしょう。彼らがやりたいようにさせてあげる。後はアウトプットの生産性に対して報酬がついてきます。いくつかの絶対守らなければならないこと以外は、社風や文化に応じてのマネジメントがあると思っています。


― 優秀な人材を確保していく上で、最も重要なエレメントは何だとお考えでしょうか ?

自分の会社が求めるべき平均的人材像を明確にすることだと思います。どのレベルの人材だったら、満足して働き続けてくれるのか。みんな闇雲に優秀な人材を採りたいと思っているのは大きな間違いです。優秀な人材が興奮するようなフィールドを会社が与えてやれないのに、飛び抜けて優秀な人材を入れても辞めるだけです。会社が求めるべき平均的人材像に訴えかけるような採用方式を採るべきだと思います。当社の場合は飛び抜けて優秀な人材を求めていますから、その人たちが働き易い環境を整えています。


― 飛び抜けて優秀な人材というのは色々なとりかたがあると思いますが、御社が考える優秀な人材の定義をお教え下さい。

第一は、論理思考力(ロジカル・シンキング)で、これは筆記試験で判断できます。判り易く言えば、偏差値65以上。これは頭の回転、ものごとをキャッチアップする力、理解力のスピード、ですから、これがあればあるほどいいに決まっている。もう一つは発想転換力(クリエイティブ・シンキング)です。これは論理思考力と反比例する傾向にあって、ものごとをロジカルに考える人は枝葉を切って論理につなげているんです。枝葉を広げてしまうとスピードがガクンと落ちてしまいます。現実のビジネスの世界では全く新たなことをやっていかなければならない。0から1を産み出す力、クリエイティブ・シンキング力がないと全然駄目な訳です。ところがロジカル・シンキング力がないと今度はスピードがついてこないので、難しい仕事になったら出来なくなってしまう。この両方のバランスが図抜けてないと駄目な訳です。この両方の力を持っていて、0から1を作り上げられるタイプの人間が図抜けて優秀な人材だと思っています。

ロジカル・シンキング能力は試験でわかりますが、クリエイティブ・シンキング能力は面接だけでは分かりません。ですから、学生の場合は約1ヶ月のインターシップ期間を設けて、クリエイティブ・シンキング能力を見極めています。中途採用の方も2〜6ヶ月間の研修期間の中で能力を見極めて、それによって適切部署への配置等を決めているわけです。


  ― これだけ優秀な人材を集めていらっしゃるわけですから、報酬はもちろんのこと、その他に今後どういったものを提供していくべきだとお考えですか?

彼らが興奮できるようなフィールドを提供し続けることだと思います。社員がこの会社で働いていていることを誇りに思ったとしても、こんなに優秀な人材が働いている会社だと社会的に認知されなければ社員たちが可哀相だと思っています。優秀な人材が集まって働いている会社なんだという認知度を上げたいと思っています。


― 欧米では優秀な人材をサポートするために福利厚生としてコンシェルジュ・サービスを提供する企業が増えているのですが、その点に関してはどのようにお考えですか?

当社の福利厚生は自分のお金で出来ることは自分でするということを徹底しています。逆に自分で出来ないことは会社でしましょうと。ですからコンシェルジュ・サービスが個人で出来ないことであれば、価値はあると思います。


― 会社でないと出来ない福利厚生とはどのようなものでしょうか?

社内にリフレクソロジーサロンとマッサージルームがあります。会社の中にあるので、仕事中でも無料で自由に使ってくださいと、これは会社でないと出来ないですよね。会社の中にカフェテリアがあるとか、若い社員のために保険をかけてあげるとか。ワークス・ミルク・クラブという出産・育児支援を法制度で定められている以上に手厚く保護し、優秀な女性社員が働きつづけられる環境作りも行っています。

 



 



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